センター事業

 センターの事業は、部門が連携して全体で実施するものと、各部門ごとに実施するものがあります。
また、学部内の学生を対象として実施するものと、学外のみなさまを対象として実施するものとがあります。
 このページに掲げるものは、主として全体として実施するものや対外的な事業、あるいはセンターとして特色のある事業を掲載しています。
 各部門ごとの事業は、各部門のページをご覧ください。

平成29年度のセンター事業
平成28年度のセンター事業

▶ 人間形成総合科目「ストレスマネジメント」の開講

企 画 学校臨床心理部門
趣旨と目的 平成17年度から進路指導委員会との連携をもとに実施してきた「ストレス・マネジメント講座を平成20年度より授業化。
内 容 3部門の全教員が分担担当し、音楽講座の蛭多先生による特別講義等も盛り込んで、学校現場における多様なストレスをどのように捉え、マネジメントしていくかをテーマに15回の授業を行った。
主な内容は、ストレス概論、学校における多様なストレス、コミュニケーションの理解と能力の開発、カウンセリングの技法、様々なストレス対処法、イメージや身体を使ったリラクセーション等である。
また、受講生全員にワークシートを配付し、授業で学んだ対処法を実際に日常生活の中でどのように活用したかの記録をとらせ、授業内でのグループワークの際に、自己の生活のふり返りや、他のグループメンバーの対処法を聴くことによって、取り入れを促進する工夫も行っている。

教育実践総合センター開設30周年・教職大学院開設記念教育講演会報告

 教育実践総合センターは、今年度、前身となる「埼玉大学教育学部附属教育実践研究指導センター」が開設されてから、満 30 年になりました。また、今年度、教職大学院も開設されました。そういう節目の年を記念して、2月24日 (金)に、さいたま市民会館うらわで、教育講演会を開催しました。

 教育講演会の講師に國學院大學人間開発学部教授の杉田洋先生をお招きしま した。杉田先生は、地元旧浦和市の小学校で教育実践を展開し、旧浦和市及び さいたま市教育委員会で教育行政にも手腕を発揮し、その後文部科学省で教科 調査官、そして一昨年度まで視学官を勤められました。先日、次期学習指導要 領案が発表されましたが、その基本方針を作成した先生です。

 当日は、県内の学校現場の先生を中心に、教師を目指す大学生及び大学院生 も多数参加しました。また、県外からの参加者や教員以外の方の参加も相当数 あり、会場の定員の関係から募集を100名としましたが、ほぼ満席となりま した。時節柄、学習指導要領改訂に係る関心の高さが伺われました。

 今回は、「アクティブ・ラーナーの育成と日本式人間教育 〜新学習指導要 領の実現に向けてー」と題して、ご講演をしていただきました。参加者からは、 「新指導要領について、日本式人間教育について、大変有意義な講演だった。」 「人間の中で人間を教育する大切さがわかりました。」「教育という素晴らしい 仕事に誇りが持てました。」「学生ですが、人と人との繫がりで学校は成り立っ ているとよく分かりました。」等の感想が寄せられました。現場のニーズに応え る講演会等の企画を、これからも定期的に行っていこうと考えています。

▶ セミナー

[実践報告] 学級の心ほぐし入門~震災後の心のケアも視野に~

 教育実践総合センターの教員養成部門事業の一環として、2016年5月28日土曜日、埼玉大学大宮ソニックシティカレッジにおいて、宮城県仙台市立小学校教諭の八巻 寛治先生をお招きして、「学級の心ほぐし」の実際について、また大震災のあとの子どもたちの心のケアについてご自身の東日本大震災での被災経験もとにお話をいただきました。

 センター長の庄司先生の挨拶の後、第1部では、震災後子供の心のケアについてご講義をいただきました。第2部では、「心ほぐし」のエクササイズを全員で体験いたしました。第3部では、「心ほぐし」についてのまとめと質疑応答を行いました。

 当日は、大学院生や学部生、さいたま市内の小学校教諭等15名が参加し、満足度の高い評価をいただきました。以下、参加した学生等の感想の一部を記します。

○ 第2部の「心ほぐし」のエクササイズでは、自分がどう見られているか、どう認められているのかを言ってもらうことで、すごく温かな気持ちになりました。4・5・6年生では同性の同級生から認められたいとのお話があったので、(学年始めの頃)学級活動等で使いたいと思いました。これはいじめ予防にもつながる活動であり、自己肯定感も養えるので積極的に展開していきたいです。(学部生)

○「心ほぐし」のやり方を自分で体験しながら身をもって知ることができてよかったです。また、特に感情を子どもたちに出してもらいたいときには、量感や質感を説明する材料にしていけばよいということが分かりました。私は小学校の教師を目指しているのですが、将来教師になった際に活かしていきたいです。そして、学級経営をする際にただ落ち着いたクラスにするのでなく、子どもたち一人一人が自己実現することができるクラスを作っていけるようにしようと改めて思いました。(学部生)

○ 東日本大震災で被災した生徒を担任させていただいた経験があります。その兄弟は大変ユーモアがあり明るくまじめな生徒でした。しかし、それはもしかしたら表面的なことであり、とても辛かったのではないかと思い返しました。また、私から震災について触れませんでしたが、兄の方は自分からその話をしてきました。もしかしたら、自分に起きた出来事を理解しようとしていたのか、理解できたからこそ話していたのかもしれません。この研修を通して、改めてその兄弟のことを考えることができました。(大学院生)

○ 震災後の心のケアの必要性を感じました。現実をしっかり受け止め、無理して適応しようとせず、そして我慢のしすぎをさけるという3つの「自立」「自律」「自率」は、今後の教育活動につながると実感しました。現代は子どもだけでなく大人も人間関係を築くことが苦手だという人も多いです。環境因子も含めて今後の教育に役立てていきたいと思いました。(現職教員)

○ 震災後の子どもの心のケアでは、担任している児童の姿と重なり、大きな事件でなくても、子どもの心の中には各々抱えているものがあり、まずそれを受け取ってあげなければいけないと改めて感じました。子どもたちみんながよさの体験を積んでいないかもしれないならば、今担任として何ができるか、先生の講演から考えるきっかけをいただきました。(現職教員) 今後、震災後の心のケアのお話については、株式会社福分堂の協力を得てDVDにまとめ熊本県教委等に提供し、子どもたちのために活用していただこうと考えています。

 

これまでの主なセンター事業

▶ 自由提案科目「教職スタートアップ演習」(平成25年度〜平成26年度)

企 画 教育養成開発部門
趣旨と目的 教育実践総合センターの実践研究・支援の蓄積を活用し、教職に向けてのスタートを円滑に進めるとともに、高度な力量を有する実践者としての学部の教員養成を支え、推進することを目的とする。また、進路指導委員会・センターが開設する「教職スタート準備講座」との連携を図りながら、本採用、臨時的任用にかかわらず、新年度から支障なく職務を遂行できるよう、教員として必要な資質・能力を身につける。さらに、これまでのセンターの本学部卒業の新任教員ならびに在学生対象の調査研究から新任教員のメンタルヘルスの重要性が課題となっており、センターが開講してきた「ストレスマネジメント講座」の実績もふまえて、教職への心理面での円滑なスタートについても支援を進める。
内 容 教職に就こうとする学生たちに、学部のカリキュラムに基づきながら、教職のスタートのために必要とされる基礎的な内容を着実に身につけるとともに、より高度な教育実践と教職の専門性についての理解、ならびに実践創造の力量を形成する内容とする。さらに教職のライフヒストリーの中で学び続ける教師としての基礎を形成する内容とする。また、教育相談のカウンセリング技法としてのロールプレイング(児童生徒、保護者との関係づくり)、教師のメンタルヘルスとしてストレス・マネジメント(ストレス・コーピング)、さらに課題を抱える児童・生徒への対応としての特別支援教育に関する内容等を含む。さらに、幼・小・中・高等の各学校種に応じた内容を、ていねいに指導し、実践力向上を図る。方法としては、事例検討等のグループワーク、ロールプレイング等の体験的学びと探求、また身体的なワーク等を含んで、実践的な学びの場とする。

▶ さいたま市教育研究所と埼玉大学とのコラボレーション連続講座
 「教職員のためのメンタルヘルスとリラクゼーション講座」 (平成21年度~平成26年度)

企 画 教育実践研究部門 学校臨床心理部門
趣旨と目的 教師(教職員)のメンタルヘルスの向上
支え合う教師(教職員)の「同僚性」の開発
内 容 下記の内容をはじめとする実技・体験的内容
・身体的ワーク リラクセーション・呼吸法・対人コミュニケーションワーク等
・臨床心理的ワーク メンタルヘルス・ストレス・マネジメント・アサーション等
実施状況 5月25日 (金)、6月22日 (金)、7月13日 (金)、9月21日(金)、11月16日(金)、1月11日(金)の6回実施。 各回とも、基本的に、椋田によるストレスとそのマネジメント、ロールプレイ等のコミュニケーションワークにはじまり、庄司によるボディワーク、リラクゼーションワーク、呼吸法、声や表現のワーク等を実践する形で実施された。参加教職員は、上記に関する理論的理解と日常では体験できないリラクゼーション状態の体験との双方の経験から、有意義な研修であるとの感想を述べている。職場でのストレスとそれへの対応、さらに自己の身体と心理への気づき、身体的なリラクゼーションと身体の変容を体験しつつ、理解を深めることができる場となっている。 担当教員: 庄司康生(教育実践研究部門)、椋田容世(学校臨床心理部門)

▶ セミナー開講「ストレス・マネジメント実践講座 アドバンス・コース」
 (平成21年度~平成25年度)

企 画 学校臨床心理部門
趣旨と目的 『人間形成総合科目:ストレス・マネジメント』を受講した学生を中心とした、「さらに深く学びたいので、アドバンスコースを開設してほしい」との要望に応え、平成20年度より開講。
内 容 ・第1回 「自分の特徴を理解してストレスに強くなる -交流分析の「人生脚本」の視野から-」   1月29日 講師:東京経済大学 鈴木佳子先生
・第2回 「コミュニケーションのコツを学ぶ ―自分を知る・相手を知る・関係を知るー」   2月19日 講師:専修大学 金子玲子先生
実施状況 学部生・大学院生・大学院派遣教員が参加した。参加人数は、第1回8名、第2回9名だった。終了後のアンケートでは「自分をふり返る良い機会となった。」「周囲と自分との関わりについて、改めて考えることができた。」「充実した時間だった。」「グループワークが面白く、話し合いなども含めて楽しく学べた。」などの感想が多く、大変好評であった。

▶ 教員キャリアアップ・サポートセミナー(平成23年度~平成26年度)

企 画 教員養成開発部門・学校臨床心理部門
趣旨と目的 (1)教育実践総合センターの活用を通して地域貢献を図る。
(2)教育実践総合センターの部門間の連携強化を図る。
(3)さいたま市の教員の資質能力の向上に質する研修会を実施し、
   さいたま市教育委員会と連携協力した活動の一層の充実を図る。
内 容 ◇第1回    よりよい人間関係の築き方① ~児童生徒との関係づくり~
◇第2回    よりよい人間関係の築き方② ~保護者との関係づくり~
◇第3回    学校事故対応 ~学校・学級で起こりうる事故と危機~
◇第4回    不登校対応
◇第5回    特別支援教育① ~児童生徒への支援~
◇第6回    特別支援教育② ~保護者への支援~
◇第7回    スクールセクハラを考える
◇第8回    ストレス・マネジメント
◇第9回    情報技術に脅かされる児童生徒の安全
◇第10回  キャリア教育
実施状況 参加者数は、延べ106名。(臨時的任用教員23名、相談員22名、支援員22名、正規採用教員8名、学校地域連携コーディネーター10名、学生20名、その他1名) 参加者の評価については、「目的の達成度」「内容の理解度」「研修会の満足度」のいずれにおいても、「十分達成できた」または「おおむね達成できた」と評価した者の割合が95.0%を超えており、本研修カリキュラムが教職員のニーズに応じたものであるとともに、資質能力の向上や非正規採用教職員の支援に有効であると判断することができる。 本研修カリキュラム開発の成果としては、以下のとおりである。
(1)研修カリキュラムの有効性を確認することができた。
(2)学校教育における現代的課題に関する学校現場の教職員の課題意識が明確となった。
(3)多種多様な教職員が合同で研修を行うことの価値が明確となった。
(4)教職員の研修環境を整備することができた。
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